戸崎事務所便り令和2年3月号
今月の言葉
「採用面接は、成功体験を話したくなるものですが、あえて失敗談を聞きだします。そこから何を学んだか、これからどう活かそうと思っているか、知りたいためです」
黒田麻衣子 ㈱東急イン 社長
今月号の記事から
- 高齢者雇用の実態と意識調査~連合調査から
- 企業PRに活用したい認定マーク
- 2019年の企業倒産状況~東京商工リサーチ調査
①高齢者雇用の実態と意識調査~連合調査から
連合が1月30日、「高齢者雇用に関する調査2020」結果を発表しました。昨年12 月にインターネットリサーチにより実施して 、全国の45 歳~69歳の有職者1,000 名の有効サンプルを集計したものです。ポイントは、以下の通りです。
◆現在の仕事と高齢者雇用について
60歳以上の働き方の現状は、労働時間が平均 6.8時間/日、労働日数が平均4.5日/週、賃金は平均18.9万円/月という結果でした。また、「職場にいる60歳以上の従業員・職員とコミュニケーションを取れている」と答えたのは、販売職で顕著となりました。
さらに、60歳以降も働くシニアの仕事満足度では、「働き方満足度」は 70.3%、「賃金満足度」は 44.0%にとどまっていることがわかりました。そして、60歳以降も働きたいと思う理由の1位は「生活の糧を得るため」、2位は「健康を維持するため」となっています。
また、高齢者が働くと現役世代にどのようなメリットがあるかという質問では、TOP2が「人手不足を補える」「スキルを伝承できる」でした。
高齢者がやりがい・働きがいを持って働き続けるために必要な配慮の1位は、「労働時間・日数への配慮」であることもわかりました。
◆65歳以降の就労について
65歳以降の適切な働き方としては、労働時間が平均5.4 時間/日、労働日数は平均3.9日/週、賃金は平均16.8万円/月という回答でした。また、「65歳以降、どのような働き方を希望するか?」の1位は「現役時代と同じ会社で正規以外の雇用形態で働く」でしたが、「現在の職場に70 歳まで就労できる制度がある」のは40.9%にとどまっており、「現在の職場で70 歳まで就労できないと思う」のは57.0%、就労できない理由の1位が「 70 歳まで働ける制度がない」でした。
また、「高齢者雇用の拡大の議論が政府で進んでいることを知っている」のは69.8%で、政府による 70 歳までの就労機会確保に向けた施策の推進に対する賛否では、「賛成」 が71.4%、「反対」が28.6%でした。賛成する理由としては、「労働力不足の解消と技術の伝承が必要」「『人生100 年時代』と言われているから」などで、反対する理由としては、「年金受給の先送りにつながる」「若い世代の就職の機会を奪うことにつながる」などが挙げられました。65歳以降の就労が当たり前になった場合の現役世代への影響予想の 1 位は「年金支給開始年齢が遅くなる」となっています。
ただ、「病気や体力の衰えがあっても働き続けたい」とする人は74.2%いて、65歳以降も働く場合に心配なことのTOP3として、「自身の体力」「自身の健康維持」「十分な所得」が挙げられていました。
政府の高齢者雇用推進の施策がすすんでいくなか、企業としても高齢者雇用の環境整備をさらに真剣に考えていく必要がありそうです。
②企業PRに活用したい認定マーク
厚生労働省では、両立支援や女性活躍推進などに取り組んでいる企業を認定する制度を設けています。認定を受けた企業は、認定マークを自社ホームページ等に表示したり、商品に使用したりと、高い水準の取組みを行っている企業であることを取引先や消費者、求職者などにアピールすることができます。
◆子育てサポート「くるみん」・「プラチナくるみん」マーク
次世代育成支援対策推進法に基づき、一定の基準(行動計画の策定・実施等)を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。既にくるみん認定を受けた企業のうち、より高い水準の取組みを行った企業は、プラチナくるみん認定が受けられます。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/shokuba_kosodate/kurumin/index.html
◆女性活躍推進「えるぼし」・「プラチナえるぼし」マーク
女性の活躍推進に関する取組みの実施状況等が優良な企業は、厚生労働大臣の認定を受けることができます。認定を受けた企業は、認定マーク「えるぼし」を商品などに付することができます。認定には、採用に関して、男女別の採用における競争倍率(応募者数/採用者数)が同程度であること等の要件が必要になります。2020年6月からはその上位認定として「プラチナえるぼし」がスタートします。https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000135784.pdf
◆若者の採用・育成「ユースエール認定」
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況等が優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する制度です。認定企業は、若者雇用促進法に基づく認定マーク(ユースエール)を、商品、広告などに付けることができます。労働時間(正社員の所定外労働時間月平均が20時間以下、かつ月平均の法定時間外労働60時間以上の正社員ゼロ)等の基準を満たすことが必要です。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000100266.html
◆安全・健康で働きやすい職場「安全衛生優良企業認定」
安全衛生優良企業とは、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善しているとして、厚生労働省から認定を受けた企業のことです。認定を受けると、認定マーク(安全衛生優良企業)を利用することができます。認定には、労働者の健康保持増進対策、メンタルヘルス対策、過重労働防止対策、安全管理などの取組みを行っていることが必要です。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075611.html
◆仕事と介護の両立「トモニン」マーク
社員の介護離職を未然に防止するため、仕事と介護を両立できる職場環境の整備促進に取り組む企業は、「トモニン」を活用することができます。厚生労働省の仕事と家庭の両立の取組みを支援する情報サイト「両立支援のひろば」に仕事と介護の両立に関する取組みを登録する必要があります。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000075611.html
上記以外にも、例えば、優良な健康経営を実践し認定を受けた企業に付される「健康経営優良法人認定」マーク(経産省)、食品ロス削減を推進する企業等が利用できる「ろすのん」マーク(農林水産省)などがあります。
③2019年の企業倒産状況~東京商工リサーチ調査
◆倒産件数が11年ぶりに増加
東京商工リサーチの調査結果によると、2019年の全国の企業倒産件数(負債総額1,000万円以上)は8,383件(前年比1.7%増)で、リーマン・ショックが起きた2008年以降、11年ぶりに前年を上回りました。一方、負債総額は1兆4,232億(同4.1%減)と、過去30年間で最少を更新しました。
なお、2020年1月度の倒産件数は、773件(前年同月比16%増)でした。こちらも約11年ぶりに5か月連続の増加となりました。
◆産業別では?
産業別の倒産件数は、飲食業等の「サービス業他」が2,569件(前年比2.2%増)で最も多く、4年連続で増加しました。これは主に消費税引上げに伴うものと考えられます。
次に、「建設業」が1,444件(同0.9%増)で、11年ぶりに増加しました。また、「小売業」、「製造業」、「運輸業」、「情報通信業」「農・林・漁・鉱業」が前年よりも増加しています。
◆「人手不足倒産」が深刻化
また、人手不足に関連する倒産は426件(前年比10%増)で、2013年調査開始以来、最多を更新しました。その内訳は、「後継者難」が最も多く270件(同2.8%減)で全体の6割超を占めています。「後継者難」による倒産は中小企業に多く、事業承継がスムーズに移行できないケースや、誰にも後継ぎをさせずに自分の代で終わらせるケースが多いようです。
次に、「求人難」が78件(同32.2%増)、「従業員退職」が44件(同83.3%増)、「人件費高騰」が34件(同30.7%増)と続きました。社員の定年退職や中核社員の独立、転職により人材が減少する一方で、新たな人材確保が難しくなっていることが問題となっています。
◆新型コロナウイルスの影響は?
現在、新型コロナウイルスの感染拡大により、中国に事業所や工場を持つ企業は現地での感染拡大防止への対応等で生産活動に影響が出ています。また、訪日客の減少によるインバウンド需要も減少し、日本国内の飲食店や宿泊施設にも影響を及ぼすことによる今後の倒産件数への影響が懸念されます。
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